kitombo.com | 大地舜のフォトギャラリー | 2006年1月23日 
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大地舜のフォトギャラリー
「大地舜のフォトギャラリー(55)
マルタ(2)地下神殿」

大地舜
1月23日

 マルタ島の地下神殿ハイポジウムは、マルタ島の繁華街から車で15分、高台にある住宅街のど真ん中にあります。高台ですから、大昔には地上にも神殿があったのではないでしょうか。ハイポジウムは紀元前2400年頃に、泥や人骨で埋められてしまっていたことがわかっています。
 近代の人々は地下神殿の存在を知らないで、その上に建物を建てたのです。発掘が行われたのは1901年ですが、その前から上に住んでいた住人は地下の洞窟の存在にきづいていましたが、まさか神殿とは思わず、ごみ捨て場にしていたとのことです。
 ハイポジウムの中から出て来た土器や装飾品などの古さは、紀元前3600年頃のものと推定されています。つまり今から5600年前です。エジプトの大ピラミッド群の建設が4500年前頃ですから、それよりだいぶ古いですね。
 人骨も7000人分出て来たと記録されていますが、ばらばらの遺体で、正確な数はわかっていません。友人のアントン・ミスフッド博士はマルタ島の高名な考古学者でもありますが、彼によると、紀元前2400年前頃の大地震で大洪水が起こり、近くの墓場から、人骨などが大量に流れ込んだのではないかと言っています。
 最初の写真は入り口の部分です。左上に通路が見えていますね。この通路の右端の部屋は映画を見せるところです。左側の階段を下りてくるとこの空洞があるのですが、ここには行っていくと写真3の井戸に出ます。
 2番目の写真はやはり入り口です。右上の方に3本の柱を使った門が見えます。ここから神殿中央の祈りの間まで、朝の太陽の光が通り抜けたと言われています。
 写真3が井戸ですが、これも見事に掘りぬかれています。この神殿はもともと洞窟だったところを、岩を彫り、神殿にしています。岩は石灰質でグロビゲリナ石と呼ばれますが、海洋底の40%がこの岩で出来ているそうですから、珍しいものではありませんね。浮游性の有孔虫が死んでたまって岩になったものだそうです。これなら比較的、造形がしやすい岩だということがわかります。
 地下神殿の他の部分が忘れ去られていた後も、この井戸だけは存在が知られており、使われていたそうです。
 この井戸があるので、紀元前3600年頃も、この神殿に神官たちが住むことが出来たと思われています。
 4番目の写真は中央の祈りの間です。この奥にも幾つか小部屋があります。この部屋の壁の一部には黒と白のチェック模様が描かれていました。
 5番目の写真は祈りの間のさらに奥の部屋ですが、右手の入り口の奥には、さらに小部屋が控えています。
 5番目の部屋の左手前には、さらに地下に行く階段がありますが、途中までしか作られていません。知らない人は墜落してケガをするでしょうし、下の部屋からはい出るのも大変そうです。それが6番目の写真です。地下神殿は3階建てで、この階段の下の部屋が、1番下になります。一番深いところで10.6メートルです。
 7番目の写真は壁に描かれた絵ですが、1万年前に死滅している動物だと思われていました、今では見えなくなっています。
 この地下神殿がどのくらい古いものかはわかっていません。土器や装飾品が地上の神殿から発見されるものと同じなので、紀元前3600年には存在したことがわかっているだけです。
 地下神殿からは「眠れる女性」像が2つも見つかっています。眠れる女性の容姿は、一万年前以上前から存在する地母神像と良く似ています。また、この地下神殿の天井には、渦巻き模様や、蜂の巣の模様などが描かれていますが、使っている塗料は、2〜3万年前のヨーロッパの洞窟壁画で使われている塗料と同じものです。そこで、この地下神殿の古さは1万年よりも古いのではないかと考える考古学者もいます。
 地下神殿ハイポジウムの細部のデザインは、外に立っているジュガンティア神殿やハジャー・イム神殿とそっくりです。そうなるとどちらが真似をしたのでしょうか? それもまた謎です。
 地下神殿が発掘されたとき、内部は赤土で埋まっていました。その赤土が1部残されています。それが写真8です。
 最後の写真は、地下神殿の2階を図解したものです(Malta Prehistory and Temples by David H. Trumpから借用)。
 写真にはありませんが、オラクルの間というものがあります。神官の言葉を伝える部屋でしょうか。この部屋にある穴から声をだしますと、男の太い声は神殿中に響きますが、女性の高い声は消えて聞こえません。
 今回、掲載する写真はすべてフィルムで撮ったスライドをスキャナーでパソコンに取り入れたものです。実を言いますと、マルタ島には三回訪れていますが、最後に行ったときにニコンD100というデジタルカメラでも、この地下神殿内部の写真を撮影しています。その方が出来がよいのですが、今回はすべてフィルムの写真にしました。
 地下神殿ハイポジウムについては、「大地舜・今週の疑問」で三回にわたって取り上げたことがあります。そこの写真にはデジタルで撮った映像も含まれています。

(つづく)

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