
マルタの魔女たちとは、かなり意気投合し、何度か一緒に食事をして、ホームパーティーにも呼ばれました。その写真を掲載しようと思いましたら、MOというハードディスクが動かなくなり、出来ません。魔女たちは黄トンボウイークリーに登場したくないようです。
魔女の一人のマルタ美人のアントン博士夫人は、子供の頃、弟に雨傘を持たせ、2階の屋根から飛び降りることを勧めたそうです。呪文をかけてあるから大丈夫と、彼女は請け合ったのですが、弟は、恐がって飛び降りなかったそうです。やれやれ、とんでもない魔女たちです。

魔女の長老は、いつも金属の棒をもっています。それで遺跡の中を歩いては、「ウーン、ここには昔の気がたくさん残っているわね」「ここでは人が殺されているわ」などと不気味なことを言います。
パーティーでは、「うちのワイフも魔女でね・・・」と魔女たちに話しました。「何しろ俺は一生懸命働いて、髪の毛も白くなっているのに、彼女は働きもせず、のほほんと人生を楽しんでいるんだ・・・すごい魔女だよ」。

最初の写真は古代の魔女・・・いえ、地母神です。このような像がマルタの6000年前の神殿廃虚から、たくさん発見されています。先週、紹介した地下神殿ハイポジウムからも、寝姿の地母神が二つほど発見されています。このような地母神の伝統は1万年以上前からあるようで、旧石器時代の特徴だと見られています。
2枚目の写真は、マルタの6000年前のデザインで、石壁に浮き彫りされています。この柔らかな線は、神殿のハート型の部屋などとよく似ていると思います。赤色の壁に見えますが、実際の色はクリームです。

3〜4枚目の写真が「カート・ラット」(荷車のわだち)と呼ばれているものですが、これがマルタ島全体を覆っていたと言われています。
岩盤を直接削ったこの溝が何なのかは、全く不明ですが、それが海の底にも続いています。みたところ、ただの荷車の車輪の跡のように見えますが、削られているのは岩盤であって、土ではありません。
海底にまでカート・ラットが続いているのは、不思議ではありません。1万5000年前まで、マルタ島はシシリー島を経由してヨーロッパと地続きだったからです。そのころの陸地にもカート・ラットがあったとすれば、海底にも当然見られるでしょう。マルタ島とシシリー島の間の海底は深さ五〇メートルぐらいしかありませんから、氷河期の終わりには地続きであったことが分かります。

マルタ島は今でもヨーロッパの避寒地ですが、1万5000年前も同じでした。この島には今では絶滅しているカバや馬が棲んでいたのです。当然、旧石器時代の人々も、この温暖な土地に住んでいたことと思います。
この島が、なんで神殿の島になったのかは不明です。この小さな島に四〇以上も廃虚があるのですよ。これは尋常な数ではありません。旧石器時代からヨーロッパの神殿区域としての機能を果たしていたのではないでしょうか? このような神殿群があると言うことは、マルタ島よりももっと大きな文化圏の一部であったことは間違いないでしょう。

5〜7枚目の写真は、見れば分かるようにマルタ沖の海底です。最初の写真には十字路が写っているようです。6枚目の写真は運河のようですね。このわだちの底には草が生えていませんが、たぶん岩盤がむき出しなのでしょう。両脇には海草が繁茂していますから、土壌があるのでしょう。
この辺りの水深は15メートルから20メートルでした。場所はマルタ島と隣のゴゾ島の海峡にあり、時々、潮の流れが早くなるのですが、私が行ったときは、幸運にも流れが穏やかでした。

この時は、東京に用事があり、テレビのクルーを置いて先に帰りました。私が東京に戻るその日に、TBSの秋沢淳子アナウンサーがマルタ島に到着しました。本当は、彼女と一緒にダイビングができると楽しみにしていたのに、残念でした。これも天の采配ですから、しかたありませんよね。
秋沢淳子さんがダイビングしたときは、海が大荒れで大変だったそうです。私がいたら、かっこうよく、騎士のように、手助けできたのに・・・天は何を考えているのでしょうね、まったく。
7枚目の写真は運河の上にかかる橋ですが、ここをくぐり抜けてすぐに行き止まりになってしまいます。つまり今では運河の面影を残していないのですが、1万5000年前のことは分かりません。

最後の写真はアーダラム洞窟です。この洞窟には7000年前から人が住んでいたことが分かっています。地中海では1万年前から人々が航海をしていたことが分かっていますから、船でたどり着いたのでしょう。独特な模様の土器も発見されています。
マルタの神殿群の古さが理解されたのは1970年代です。現在は人骨のDNA鑑定が行われていますし、二つ目の地下神殿も1994年に発見されて、慎重に調査されています。今後は人口がどれくらいだったとか、社会組織はどのようなものか、どんな宗教だったのかなどが分かってくると思われます。
マルタ島にまた行かなくては!
(つづく)