kitombo.com | 今週の疑問 | 2003年4月14日
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今週の疑問
「第4次世界大戦の始まり(1)」

大地舜
4月14日

 イラクの戦争はほぼ終わってしまった。
 予想通り、あっけなく終わってしまった。
 「イラク戦争の大義は何か」が朝日新聞などで疑問視されているが、その答が米国で発表されている。
 ワシントンD・Cにあるジョン・ホプキンズ大学のエリオット・コーヘン教授は、「イラク戦争は第4次世界大戦の始まり」を意味するという。元CIA長官でイラクの戦後統治の首脳の一人となると予想されているジェームズ・ウーズリー氏も、コーヘン教授の意見に賛成している。
 彼らの考えでは第3次世界大戦はソ連との冷戦だった。冷戦は40年つづいたが、米国が勝利した。第4次世界大戦も数十年はつづくという。第1次世界大戦や第2次世界大戦よりもはるかに長くなるわけだ。
 では第4次世界大戦のテーマは何か? それは独裁者の君臨する危険な国を崩壊させ、民主国家を樹立させることだという。それによりテロも撲滅できるという。
 86年前の1917年の春に米国は第1次世界大戦に参戦している。その当時、世界中で民主主義国家は10カ国しかなかった。それらは米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英国、フランス、スイス、それに北欧諸国。
 当時の世界では、王国、皇帝が支配する国、それに植民地が大半だった。ところが2003年現在、世界192カ国のうち、120カ国が民主主義国家になっている。
 コーヘン教授やウーズリー元CIA長官の見解では、世界の国々の民主化に米国が果たした役割は大きいという。第1次世界大戦に勝利し、第2次世界大戦にも勝利し、ドイツや日本も民主主義国家になった。第3次世界大戦(ソ連との冷戦)にも勝利し、ソ連は民主主義国家になった。
 極東の儒教の国は民主主義が育たないのではと危ぶまれていたが、それも克服されているという。つまり日本や韓国や台湾も曲がりなりにも民主主義国家になった。
 イスラム国家である中東の22カ国はまだ民主化されていない。だが、バーレンなどの国は、民主化への道を歩んでいる。中東以外のイスラム教徒が多い国24カ国のうち半数は民主主義体制を採用している。この中には世界最貧の国バングラディッシュやマリが含まれる。インドに住む2億人のイスラム教徒も民主主義体制で暮らしている。
 中東ではイスラエルとトルコが民主国家だが、イラン、シリア、スーダン、リビアなどはテロリズムに加担し、大量破壊兵器を持っている。ウーズリー元CIA長官の意見では、中東の非民主的体制を変えないかぎり、テロはなくならないという。
 米国は第4次世界大戦を戦い抜く決意だとウーズリー元CIA長官はいう。そうなると世界中の独裁者、専制君主の地位が脅かされることになる。ウーズリー元CIA長官の言葉では「これは国と国の戦いではない。自由と独裁の戦いだ。独裁者達は神経質になるだろう。なぜなら米国は独裁者達が一番恐れる人々の味方になるからだ。つまりその国の大衆だ」という。

* * *

 さて、この米国の大義をどう見るべきだろう?
 第一に民主主義はそれほど優れた体制だったのだろうか? 第1次世界大戦当時の英国やフランスは帝国主義だった。世界中に植民地を作り、巧妙に現地の人々を搾取した。大英帝国は民主主義国家だったが、インドを植民地化し、アヘン戦争を起こし、ビルマを侵略している。つい最近まで、民主主義というのは危険な存在だったのだ。
 米国だって帝国主義だった。スペインから現在の米国南部を略奪し、フィリピンを手に入れ、ハワイを強引に植民地化した。だが、もともと英国の植民地だった米国は、独立戦争を経験しており、フランスや英国とは一味違う存在だったのは確かだ。
 独立してから50年たった1823年に、ジェームス・モンロー米国大統領は、「植民地から開放された国々にヨローッパ諸国が干渉するのは許さない」と、明言している。
 第2次世界大戦は日本帝国主義、イタリア帝国主義、ヒットラーのナチス帝国主義にたいする、米国帝国主義、英国帝国主義の戦いだった。
 当時の日本はアジアの植民地解放を旗印にしていたが、これは詭弁だった。狙いは大英帝国のような植民地主義だった。日本もイタリアもドイツも、帝国主義国家としては後発だった。だから大英帝国、フランス、オランダ、ベルギー、米国の真似をして帝国主義に走っているつもりだった。
 ところが、何かが変わっていたのだ。それは米国の意識だった。米国には植民地主義に対する疑問、帝国主義に対する疑問があったのだ。それに気づかなかった当時の日本の政治・経済の首脳は『時代を見誤った』と言える。
 そう、確かに、エリオット・コーヘン教授やウーズリー元CIA長官の言うことにも、一理あるのだ。
 イラク戦争は米英の大勝利に終わった。日本では戦争反対の声が強かった。まあ、戦争が好きな人、殺し合いが好きだという人は精神異常者だろう。したがって戦争に反対するのは当たり前だ。
 私も原則として戦争には大反対だ。この黄トンボの中でも『ブッシュ大統領は酒乱ではないか』などと書いてきた。その意見は今でも変わらない。だが、今回の戦争の奥にはもっと深い秘密があるような気がしてきた。ブッシュなどは適当に利用されているに過ぎない存在なのではないだろうか? (つづく)

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