kitombo.com | 今週の疑問 | 2002年12月16日
kitombo.com

今週の疑問
「与那国の海底構造物(1)」

大地舜
12月16日

傾斜路
 2002年11月22日〜25日、12月2日〜5日と二度にわたって与那国の海底構造物を調査してきた。
 まずは写真(1)の傾斜路だ。何やら人工的に見えないだろうか? 
 グラハム・ハンコックの『神々の世界』下巻517〜521ページにこの傾斜路のことが詳しく書かれている。
 ドイツの地質学者ヴィヒマンが「与那国で見たなかで一番、感銘を受けた」という場所だ。
 11月22日の第1回目のダイブで、ここを見てみたが、周りの風景にとけ込んでおり、泥岩でできていると思われた。泥岩なら遺跡ポイント呼ばれているテラスや3角プールのある場所と同じで、写真左側の石垣のような壁ができても地質学的には簡単に説明できる。だが、石灰岩だったら説明が難しくなる。
 だが、どう見ても周りの泥岩でできた岩盤と異なっているようには思えなかった。そこで石垣島のシーマンズクラブ&リゾートホテルに電話して、二名のダイバーの派遣を延期していただいた。
 シーマンズクラブのダイバーたちには、この岩の壁に取りついている海洋付着物を剥がす仕事を手伝ってもらおうと思ったのだ。だが、ここが泥岩ならあまり意味がない。それに見たところ、道具さえあれば壁の岩石の種類ぐらいは突き止めることができそうだった。そこで、プロのダイバーの助けを借りるのは延期して、壁がどんな石でできているかを、まず自分で確かめようと考えたのだ。
 12月3日、水中・地中探査技術研究会の太田洋一会長を『傾斜路』に案内した。太田先生の専門は「クラゲ」と「モグラ」だそうだが、水中・地中探査の専門家であり、当然、地質にも詳しい。
 写真(2)のように海洋付着物を剥がしていただいたら、なんとこの壁も床も、反対側の壁の材質も、すべて石灰岩だという。
 この場所は人工的に作られたのだろうか? それとも自然のいたずらか?
 太田先生は「自然でもできるんじゃないの」というご意見。
 私には、「どちらの可能性もある」としか言えないのが残念。
 黄トンボ・コラムニストの末さんが、石壁の左側に落ちている石の大きさを計測したが、石壁の土台の幅とは異なっていた(写真3)。さらに泥岩だった。したがって、石灰岩の壁が崩れて落ちているのではないことがはっきりした。

***

 与那国の海底構造物の調査を始めて5年になる。そのほとんどは英国の冒険作家グラハム・ハンコックの調査支援だった。与那国島でのダイビングも100回を超えている。
 そもそもダイビングをはじめたのも、ハンコックさんに誘われ、与那国島海底構造物の調査をするためだった。初期の調査のことは『沈黙の神殿』(PHP研究所刊)にも書いたが、その後も調査を続けている。その結果はグラハム・ハンコックの『神々の世界』に詳しい。
 グラハムは2001年で海底調査を打ち切っている。したがって2002年からの海底調査は、彼を支援するためではなく、自らの調査になってしまっている。
 とは言っても、ダイビングよりもお酒を飲みたい私と異なり、グラハムはダイビングそのものが大好き。したがって、与那国でダイビングしようと誘えば、いつでも話に乗ってくるだろう。
 さて、今回のダイビングでは小さな事故が多かった。なぜだろう?
 まず、最初のダイブでは、目と鼻をカバーするマスクが飛んでしまった。全体を押えず、下側だけを押えて、バックロールで背中から海に入ったためだ。
 ダイビングの回数も160回を越えるというのに、なんという初歩的なミスか・・・。
 実はマスクが飛んだだけではなかった。右手にニコンFD100の入ったカメラのハウジングを抱えていたのだが、その腕の部分に、空気を送り込んでくるケーブルが引っ掛かり、顔のマスクも飛んだが空気を吸うマウスピースも飛んだのだ。
 右手は大きくて重たいハウジングを握っている。左手ではマスクを押えている。口のマウスピースは飛んだ! どうしたら息が吸えるのだ!
 しかたなく、カメラのハウジングを足の間に挟み、右手をフリーにして、マウスピースを探したが見つからない。しかたなく、左側にあるオクトパスという空気が流れてくるマウスピースを口に押し込んだ。そして耳抜きをしてからハウジングを掴んだ。
 見上げると船が4〜メートルほど上にあるようだ。マスクに水が入っており、ぼんやりとしか見えない。次にマスクを正常の位置にもってきて、左手を自由にした。だが、水が入っているので、周りはぼんやりとしか見えない。降下はしているようだ。次に左手でハウジングを握り、右手でファーストステージのマウスピースを探し、オクトパスのマウスピースを吐き出してから、口に入れた。この間にも高まる水圧に応じて耳抜きをしている。
 海底近くになってようやく、マスクの中の水を排出できた。耳抜きをしながら海底に着くと、誰も私のトラブルに気付いた人はいない。160回もダイビングをしている人などに、だれも注意を払ってくれないのだ。私などはいまだにダイビング・ド素人だというのに・・・。

これまでのコラム
kitombo.com