kitombo.com | 今週の疑問 | 2002年12月30日
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今週の疑問
「与那国の海底構造物(3)」

大地舜
12月30日

遺跡ポイント
 遺跡ポイントは、与那国でも一番有名なポイント。最近では与那国島にダイビングしに来るダイバーたちの半数の目当てが「遺跡ポイント」だという。本来は中級ダイバーにふさわしいダイビングスポットなのにもかかわらず、初心者がどっと訪れているそうだ。
 世の中は大不況でダイビング熱も冷めているが、ここ与那国だけはダイバー客が増加しているとのこと。
 12月のダイブでは、カメラ&ハウジングの代わりに、水準器と巻き尺を抱えて遺跡ポイントに潜った。壁やテラスの水平度を調べ、高さや幅が縄文尺の長さになっているかどうかを調べたのだ。遺跡ポイントのテラスや3角プールや、亀石が縄文尺で作られていたら、この構造物は縄文人によって人工的に作られたことになる(写真1〜3)。
 縄文人は1万8000年前から日本列島で土器などを作っていたから、沖縄に縄文人が住んでいてもおかしくない。沖縄本島で見つかった有名な「港川人」もそのころの人だ。
 縄文尺は富山市教育委員会の藤田富士夫さんの研究によると、単位が35センチだという。
 そこでテラスと3角プールと亀石のところで、高さや幅を計測してみた。その結果は残念ながら、いずれも35センチの倍数ではなかった。もっとも計測したのはそれぞれの場所で2カ所程度であり、サンプル調査にすぎない。
 亀石というのは2つあり隣あっている。興味深いことにこの二つの亀石の土台の岩の高さは全く同じで78センチあった。その上の岩の高さは九〇センチ。
 水中・地中探査技術研究会の太田洋一会長は、この亀石の下に手を入れてみたが、深い溝があり「2枚の岩が重ねられているみたいだな」と首をかしげていた。
 水準器を使って、テラスの壁の垂直度、テラスの床の水平度を計測したが、驚いたことに目で見た感じがそのまま正しいことが分かった。垂直の壁だと思って測ってみると垂直だし、水平だと思ってテラスの床に水準器を置くとやはり目盛りは水平だと告げる。
 一方、これは傾斜しているな・・・と思って測ると、必ず傾斜している。人間の水平感覚は水の中でもかなり正確なのに違いない。ゆらゆら揺れて泳いでいても、水平垂直のバランス感覚は保てるようだ。
 そうなると、遺跡ポイントのテラスや壁は異常に垂直、水平の場所が多いことになる。
 5年前から遺跡ポイントでダイビングしていて、巻き尺で計測したのは初めてだった。これまでは写真ばかり撮っていたのだ。遺跡ポイントは巨大だが、この構造物の隅々まで細密に計測したら、何か分かるのではないか、という気がした。そうすればもちろん、現在作られているよりももっと精密な構造物の模型も作ることができる。
 遺跡ポイントの東側、亀石の北側に、深く切れた溝がある。この溝の一番奥の底にドルメンがあるのでないかと琉球大学の木村政昭教授は言う(写真4)。ここがエジプトの大ピラミッドで言う石棺などが置かれている場所に当たるというのだ(「海底宮殿」木村政昭著p73,p82)。だが、ここはあまりにも大ピラミッドの王の間とは雰囲気が異なる。
 それよりも、黄トンボの表紙の「与那国海底遺跡プロジェクト」に使っている写真の岩の方が興味深い。この岩は遺跡ポイントのテラスの上部にあるのだが、計測しみれば、東西南北に方位が合わされているかもしれない。これとそっくりの石が南米ペルーのマチュピチ遺跡にあるが、見事に方位を指し示していた。
 今回はじめて訪れた場所の写真を見て欲しい(写真5,6)。何やら人工的な壁に見える。ここは遺跡ポイントから西に二〇〇メートルも行ったところだ。四角い石や丸石もごろごろしているが、太田先生によると、自然の造形だろうという。与那国島の海底には興味深い地形がたくさんある・・・とつくづく思う。
 あと調査したいところは東崎(あがりざき)の最先端にある遺跡ポイントそっくりの場所だ。遺跡ポイントにそっくりだが、何やら古ぼけてみえる。ここと遺跡ポイントの関係はなんなのか? 与那国の謎は当分解けそうもない。
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