kitombo.com | カルタゴ皇帝ゴンの世界 | 2005年1月31日
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カルタゴ皇帝ゴンの世界
「最後の審判2」

カルタゴ皇帝ゴン
1月31日

 地球上に最初の生物の痕跡が現れたのは、おおよそ40億年も前のことである。その生物が、多細胞となり複雑に進化し始めたのは、たかだか6億年前の事に過ぎない。何と生物は、その歴史のほとんどの期間を、たった一個の単細胞の微生物として過ごして来たに過ぎない。
 それが、突如、多細胞の複雑な構造をもつ生物として、爆発的な進化を始めたのは、何故だろうか。どうやら、地球規模での大異変が、深く関わっているらしいのだ。最近、最も注目されているのが、「スノーボール・アース」仮説だ。「全地球凍結」仮説と訳されることもある。地球上に多細胞生物が、登場する直前の約6億年前、全地球が完全に凍りついたらしいのだ。この凍結により、それまでの長い先カンブリア時代に隆盛を極めていた、ストロマトライトなどの単細胞生物は絶滅し、わずかに生き残った生物から多細胞生物が進化したと言う。
 ケンブリッジ大学出身のサイエンスライター「ガブリエル・ウォーカー」氏の著作「スノーボール・アース」を中心に簡単に、この仮説を紹介していこう。
 実は、地球が一度完全に凍りついた事があるという仮説は、まったくの新説ではなく、以外に古くからある仮説である。最初に、世界規模での氷河期が起こったとする仮説が立てられたのは、100年以上も前のことらしい。しかし、先カンブリア時代末期に地球が世界規模で凍結したと言う、現在の「スノーボール・アース」理論の基を築いたのは、ケンブリッジ大学のブライアン・ハーランドで、1960年代の事である。
 ブライアン・ハーランドは、グリーンランドの東にあるスバールバル諸島での調査で、氷河が起源と考えられる先カンブリア時代のドロップストーンを発見してこの化説を組み立てた。


 しかし、学会の反応は冷ややかな物だった。確かに氷河が運んだ場違いなドロップストーンが、存在する事は間違いない。しかし、赤道地方の物まで、氷河が運んだとする証拠は無いと、多くの地質学者は猛反発した。氷河のドロップストーンのように見えるものは、氷河ではなく洪水で運ばれる事もあると言うのだ。更に、一度完全に凍結した地球は、もう二度と暖かい環境を取り戻す事はありえないという。なぜなら、一度凍りついて真っ白になった地球は、太陽光を宇宙に反射してしまうので、もう二度と地表が温められることは無いと考えられるからだ。
 おまけに、大陸が移動すると言う「プレート・テクトニクス」理論の登場が、全地球凍結のシナリオにとどめをさした。彼が発見した世界中の氷河起源のドロップストーンが、先カンブリア時代に、赤道上にあったと証明しない限り、世界規模での氷河の存在を証明できなくなってしまったのだ。今は赤道上でも、石が積もったときは、高緯度にあった可能性が考えられるからだ。
 ところが、地質学の研究が発展する中で、どうしても形成過程が不明なドロップストーンが存在する事に、少数の学者が気付き始めた。カナダの地質学者ポール・ホフマンもその一人だった。長年、北極圏で調査を続けてきたポール・ホフマンにとって、氷河で運ばれたドロップストーンを見分ける事は容易だった。
 当初ポール・ホフマンも、これらのドロップストーンの事を、あまり気にかけることは無かった。しかし、アフリカのナミビアで明らかに氷河によって運ばれたドロップストーンを、数多く目にするうちに、何かがおかしいと直感した。そして、世界中で同じようなドロップストーンを目にした記憶から、かつて赤道地方でも氷河が形成されたと確信したのだ。彼は、多くの研究者と共に世界中を、駆け回り、証拠集めに奔走した。
 その結果、全地球規模での凍結の証拠は確実につかんだのだ。現在この化説が、大きな注目を浴びているのは、周知の事実である。
 さて、ここで問題となるのは「再び全地球が凍結するような事があるのだろうか」と言うことである。残念ながら、明確な答えはわからない。一度起こった事が、もう一度起きないと言い切る事は誰にも出来ないのが現状だろう。最新の研究結果からは、全地球の凍結は少なくとも、2回は起こったという。1回目は、20億年以上前であると言う。2回目は、今見てきたように、おおよそ6億年前、正確には7億5000万年前から、5億6000万年前の間に、最低4回の氷結と解凍を繰り返していると言う。
 この2回の全地球大凍結の時代に、共通しているものはあるのだろうか?実は、この2回の時期には、大陸の大半が赤道付近に集まっていたと言う、共通点があるらしい。詳しいメカニズムは省略するが、これこそ、全凍結のメカニズムを解決する手がかりと言うのだ。しかし、少なくとも、過去6億年間は、地球の凍結は起こっていない。おまけに、大陸が赤道付近に大集合しそうな気配も無い。差し迫った脅威と考える必要は、まったく無いだろう。
 だからと言って、生物の大量絶滅が再び起きないと言うわけではない。むしろ、近い将来に確実に起こる事と考えた方がいいだろう。何しろ生物を大量絶滅に追いやる原因は、数限りなく存在するのだ。実際、全地球凍結以後も、生物は幾度となく大絶滅を繰り返している。

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