第四回:命の源

万能の溶剤である水の存在は地球上の生物には欠かせないものである。水の何でも溶かし込んでしまう性質があるために、生物は体の隅々に栄養を送り、老廃物を回収する事が出来るのだ。
植物が根から養分を吸い上げる事が可能なのも、水の溶剤としての性質無しでは考えられない。
しかし、生命にとって絶対必需品で、地球上のあらゆるところに存在する水も、一歩地球を踏み出すと途端に希少な物質となる。
最近では火星にかつて大量の水が存在した事が確認され、木星の衛星のエウロパやガニメデにも水の存在が予測されているが、これは固体の水つまり氷である。液体の水は、宇宙空間では貴重な存在である事に変わりは無い。
何故、地球だけに液体の水が大量に存在するのだろうか? 科学者によると、太陽からの地球の距離がちょうど良い為、地球だけが水の存在できる温度環境にあったそうだ。もう少し温度が低ければ水は岩盤に閉じ込められたままとなり、もう少し温度が高ければ水は完全に蒸発し宇宙空間に逃げてしまうらしい。本当だろうか?
むしろ大量の水の存在があるからこそ地球の温度がちょうど良い範囲に保たれているのではないだろうか。
なぜなら水には、温度を均一にする作用があるからだ。自由に動ける液体である水は、一部に温度変化が起こった場合、比重が変わり対流が起こる。この対流により、全体が素早く均一な温度へと変化していく。一方、固体はその一部の温度が変化しても対流を起こす事が出来ない為、温度は熱伝道によってのみ分散していく。したがって表面のみが極端に温まり、熱が深部に伝わる為には時間を要する。
このことを地球に置き換えると、巨大な海洋の存在により、多少太陽からの入射熱が変化しても海洋全体の温度を数度上げ下げするだけで大きな変化は起こらないという事だ。
逆に海洋が存在しなく陸地ばかりであったら、太陽からの入射熱に合わせて陸地の表面は極端に温められたり、冷やされたりと、とても生物の生存できる環境ではないだろう。
太陽からの距離が地球と同じ月を考えれば、まさにその状態なのだ。ここまで極端ではないにしろ、現在の地球でもこのような現象は起こっている。たとえば、日本の昼と夜の温度差は、せいぜい十数度でしかない。これは日本が周囲を海洋に囲まれている為、海洋のレギュレート機能が働いている為だ。逆に大陸内部のモンゴルなどでは海洋のレギュレート機能は働かず、昼は50度、夜は氷点下と極端な温度差が発生する。
この様に考えると、水がなければ地球の温度は一定ではいられない。しかし、水が存在する為には、温度が一定でなくていけない。一体どっちが先なのだろう?「鶏が先か卵が先か」の問題になってしまう。