アクア理論
アクア理論と言う人類進化の仮説を聞いたことがあるだろうか?ヒトは水辺(海辺)で進化したというものだ。あまり広くは知られていない異端の仮説だが、この説に従うとヒトへの進化の原動力が実にうまく説明できるのだ。
アクア理論は、実はかなり古くからある仮説で1960年にイギリスの学者アリスター・ハーディによって提唱されている。しかし、この理論を広く世の中に紹介したのは、イギリスの作家エレイン・モーガンである。それでは、この理論の中身を簡単に見ていく事にしよう。

この理論を、一言で言うならば、人類進化は「木を降りたサル」から始まったのではなく「海に潜ったサル」から始まったと言う事である。意外に思われるかもしれないが、ヒトは、ことごとく水生哺乳類の特徴を備えているという。
その際たるものが、体毛の消失と全身の皮下脂肪層である。陸上では、無毛で厚い皮下脂肪を備えた哺乳類は、ほとんど存在しないが、水中では当たり前の存在だ。たとえば、完全に水中に適応したイルカや鯨には体毛は無い。水辺を好むカバや水牛などにもほとんど体毛は無い。その反面、イルカや鯨、ひれ足類、海牛類など水中生活をする哺乳類は、分厚い皮下脂肪組織を供えているものが珍しくない。皮下脂肪は、体温を保持する為に水生哺乳類にとっては大変有効なのだ。
つまり、ヒトの特徴である体毛の消失と厚い皮下脂肪は、ヒトの祖先が一時期、水中生活に適応していたと考えると容易に説明可能なのだ。そして、水中生活こそがヒトが類人猿と決定的に異なる方向へ進化し始めた原動力と考えられるのだ。
もちろん、ヒトが過去の一時期水中生活に適応していた証拠は、体毛と皮下脂肪だけではない。様々な面で、ヒトが水中生活に適応していた証拠があるのだ。以下に簡単にその証拠とされる事項を羅列してみよう。
- 体毛の消失と厚い皮下脂肪。
- ヒトが水に潜ったとき、心拍数の低下などの潜水適応を示す。
- 多くの霊長類が水を恐れるのに対して、ヒトは泳ぎが上手で長い間水中に潜る事も可能である。
- ヒトの新生児は、水を恐れない。
- 水中で生活する哺乳類の一部は知能が高く、音声によるコミュニケーション能力(イルカや鯨類)にも長けている。
- 陸上の哺乳類で、ヒトのように感情の高ぶりにあわせて大量の涙を流す物はほとんど存在しない。しかし水生動物では、珍しくない。
その他、体形や性交姿勢、水かきの痕跡等々、数え上げればきりが無いが、アクア理論の細かな部分はエレイン・モーガンの著作に詳しく出ているので、そちらを参照してほしい。次の章では、アクア理論に沿って人類進化の流れをあきらかにしていこう。