kitombo.com | カルタゴ皇帝ゴンの世界 | 2004年7月12日
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カルタゴ皇帝ゴンの世界
「海の人類史15」

カルタゴ皇帝ゴン
7月12日

最初の大航海
 南米、ブラジル北東部のセラダ・カピバラと呼ばれる断崖絶壁に囲まれた渓谷では、古くから先住民が残した洞窟壁画の存在が知られていた。これらの壁画は、先住民の残した物で、かなり古い物だろうと考えられてきた。ところが最近、その壁画の中にとっくに絶滅したはずの、巨大アルマジロの狩の風景が発見されたのだ。この為、壁画が想像以上に、遥かに古い物である可能性が出て来た。
 更に、セラダ・カピバラの中でも最大の洞窟ペトラ・フラダを発掘したところ、4万年以上も前の地層から、石器らしきものや炉の痕が発見されたのだ。最大5万年前まで遡る地層の中からは、多くの炭とともに動物の骨が大量に見つかった。明らかにこの地域には、従来考えられていたよりも、遥かに古い時代から人間が住んでいたらしいのだ。
 これら南米に古くから住んでいた先住民とは、いったいどのような人々だったのだろうか。この謎を解くカギとなる人骨がブラジル北東部と南東部の洞窟から見つかっている。これらの人骨は、約9000年前から12000年前のアメリカ大陸最古級の人骨である。その中でも、最も古いルシアと名づけられた若い女性の頭骨を用いて詳細な調査が行われた。この頭骨は、1975年に発見されいた物だが、最近の検査で11500年も前のものだということが判明していた。
 詳細な、頭骨の形態の測定結果をバウテル・メデス博士がコンピューターで解析した結果、ルシアは北東アジア系のモンゴロイドとは、まったく似ていないことがはっきりしたのだ。
 コンピューターのはじき出した答えは、実に意外なものだった。ルシアは、ニグロイド系つまりアフリカ人というものだった。更に、複顔の世界的権威であるマンチェスター大学のリチャード・ニールにより顔の復元が行われた。その結果も、すべての比率で明らかにニグロイド系であることがはっきりした。ルシア以外の人骨についても検討が行われたが、やはり、ニグロイド系アフリカ人やオーストラリア先住民アボリジニ、メラネシア人等のオーストラロイド系人種の特徴が明らかに備わっていると言う。
 アボリジニやメラネシア系の人々が属しているとされるオーストラロイド系人種は、その外見とは裏腹にアフリカ系ニグロイドとの関係は無いと、一般には考えられている。しかし、大きな低い鼻や縮れた髪の毛、黒い肌など外見上は比較的共通する特徴を備えている。特にメラネシア地方や東南アジアの一部に住む、ネグリトと呼ばれる人々は、ニグロイド系人種とほとんど変わらない外見を備えている。復元されたルシアは、それらの人々にそっくりの外見を備えていたのだ。
 サンパウロ大学のウォルター・ネベス博士によると南アメリカの人骨にモンゴロイドの特徴が現れ始めるのは、約9000年前からで、それ以前の人骨には、モンゴロイドの特徴はまったく見られないと言う。逆に約7000年前以降には、完全にモンゴロイドのみになってしまうらしい。つまり、おおよそ2000年をかけて、ニグロイド系の先住民は、モンゴロイド系の先住民つまりベーリング海峡を渡り南下してきた北東アジア人と入れ替わった事になる。
 結論として、少なくとも南米には、ニグロイド系かオーストラロイド系の先住民が現在のインディオが住み始めるよりも、遥かに古い時代から住んでいたことになる。それでは、彼等は、どこからやって来たのだろうか。大きく2種類のルートが、考えられるだろう。一つは、アフリカ大陸から直接、南米に船で移住してきたルートである。実際、つい最近、漁に出た5人のアフリカ人が嵐に遭遇し船が流された末、3週間後2人がブラジルに流れ着く事件がおきていると言う。2人は、そのままブラジルへの移住を決意したらしい。それにしても、アフリカからブラジルまで、3週間で流れ着くとは、実に速い速度である。この程度なら、漂流しても生存したまま、漂着する可能性は、かなり高いと考えられるだろう。
 もう一つのルートとしては、オーストラリア或いは、メラネシア付近から、南米に移住したルートである。オーストラリアの先住民アボリジニは、一般的に内陸部に住んでいる狩猟採集民である。しかし、オーストラリアにもティウィーと言う立派な海洋民族が、存在するのだ。
 更に、現在は砂漠化していて住む者もいない北部キンバリーの砂漠地帯には、おそらく世界最古の船の絵と考えられる壁画が見つかっている。しかも、壁画の船の絵は、外洋航海に適した独特の舳先が高く突き出たタイプの物だった。この壁画には、付近に2〜5万年前に住んでいた独特の髪型をした先住民が描かれているが、戦いの場面に槍投げ器が、まったく登場しない事から、5万年以上前に描かれた可能性が高い。
 これらの事から、アフリカから船でやってきた現在のアボリジニの祖先が、更に新天地を求めて、南米まで到達していたと考えられなくもないのだ。アメリカ大陸への移住は、アフリカから直接だったか、オーストラリア付近を経由して行われたか?はっきりした事は、今のところわからない。もしかしたら両方のケースが入り混じっている可能性もあるだろう。いずれにしろ、アーストラリアやアメリカ最初の先住民こそ、世界最初の大航海を成し遂げた人々だったのだ。

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