オルメカの謎

それでは、アメリカ大陸最古の住民と思われるニグロイド系住民は、どこに行ってしまったのだろうか?この謎を解く手がかりも、南米各地の壁画に残されていた。戦いの壁画である。南米各地に残された壁画には、モンゴロイドの進入以降、多くの戦いの場面が描かれるようになったという。
つまり、ニグロイド系の先住民は、新たな侵入者であるモンゴロイド系の北東アジア人と激しく、戦闘を繰り返した末、ついに姿を消してしまったと考えられるのだ。それでは、彼らの痕跡は、骨以外には残されていないのだろうか?実は、つい最近まで、彼らニグロイド系の住民が、細々と生き延びていた可能性があるのだ。
その証拠の一つは中南米で、最古級の文明のひとつオルメカ文明に残されていた。オルメカ文明といえば、少し古代文明に詳しい者なら、すぐに、巨大な石の人頭像の事を思い浮かべるだろう。高さが数メートルもある巨大な人頭の彫刻である。これほど巨大な、石の彫刻を金属器を持たなかったオルメカ人が、どのようにして刻んだのか?今でも解けない謎である。
しかし、それ以上に謎だった事は、人頭像の顔つきである。誰が見ても、その顔つきはインディオのものではなく、明らかに黒人の顔なのだ。長い間、何故オルメカの人頭像が、黒人の顔をしているのか謎とされてきた。何故なら、当然のように南米に、ニグロイド系住民がすんでいたとは考えられていなかったからである。
だが、その考え自体が間違っていたのだ。オルメカの人頭像は、デフォルメされた人物の表現などではなく、見たままのニグロイド系の人物を石に刻んだ物だと考えられるのだ。オルメカの人頭像は、支配者階級の姿を刻んだものとされている。支配者階級は、その血筋を守るため、一般大衆とは、婚姻関係を結ばず、古くからの容姿を維持する事が、よく知られている。たとえば、日本の公家顔と呼ばれる皇室特有の顔つきなどが、その典型である。おそらく、オルメカでもニグロイド系民族は、古からの支配者階級として、血筋を守ってきたために、その容姿を保っていたのだろう。
しかし、オルメカの時代からは、もうニグロイド系の特徴をもつ人骨は、発見されていない。ほんの一握りの支配者階級にのみ、血筋が維持されていたのだろう。やがて、オルメカ文明の消滅とともに、その血筋も完全に途絶えたのだ。
もう一箇所、太古のニグロイド系住民の痕跡では無いかと思われる発見が、最近報告されている。カリフォルニア半島先端のバハ・カリフォルニアに、つい最近まで、周辺のアメリカ先住民とまったく異なる容姿を、持った人々の村が存在していたのだ。残念ながら、この村の最後の住人は、約200年前に亡くなり、村は消滅している。
しかし、この村の住民の頭骨33体分を研究した学者によると、彼らもまた、アボリジニやメラネシア系人種の特徴を備えていたという。村の存在した場所は、陸続きとはいえ、完全な陸の孤島状態の場所で、周囲とはまったく隔絶された環境にあるという。おそらくこの様な隔絶された場所だったからこそ、周囲との交流が無く、つい最近までニグロイド系の特徴を保ってきたのだろう。