kitombo.com | カルタゴ皇帝ゴンの世界 | 2008年10月6日
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カルタゴ皇帝ゴンの世界
「怖い話 およげ!たいやきくん」

カルタゴ皇帝ゴン
10月6日

 今から30年ぐらい前の「およげ!たいやきくん」という歌がはやっていた時のことである。どうも、私の感覚が鈍ったのか感受性がなくなったのか、はたまた霊や魔物すらも寄り付かなくなったのか、書き始めてみると怖い話はすべて昔のことばかりだ。……とにかく30年ぐらい前のあるとき、私は叔父の家に行った。叔父はまだ三十代、3ー4歳の女の子が一人いた。その時叔父の家で、私は気持ち悪いものを見せられた。一体のインディアン人形である。
 一見何の変哲もない、安っぽいプラスティック製の人形である。叔父の家には同じような人形がたくさんあった。すべてパチンコの景品で、叔父が子供のために持って帰ったものだった。ところが、叔父に言わせると、その一体のインディアン人形だけは、他と異なるという。手渡された私は、その意味がすぐにわかった。
 髪の毛が異常に長いのだ。人形の全長(10cmぐらい)の1.5倍ぐらいある。しかも髪の毛の長さは、全く不揃いでばらばらである。その人形が叔父の家に来た時は、髪の毛は腰のあたりできれいに切りそろえられていたという。人形の髪の毛は、どう見ても本物ではなくプラスティック製だ。その髪の毛が叔父の家に来てから伸びたのだ。その人形は、誰が見ても異様な姿と化していた。
 叔父は、その人形が何か不吉なものをもたらすのではないかと考え、非常に気にしていた。叔父によると、その人形が来てから体調が思わしくないという。その人形を見せられてしばらく経ったとき、叔父は突然体調を崩してしまった。胃の調子が悪くなり極端に食欲がなくなった。叔父は、大病院で精密検査を受けろという町医者のアドバイスを無視して、気分転換に温泉療養に行くと言って出掛けた。
 しかし、体調が良くなることはなくすぐに戻ってきた。進行した胃癌だった。すぐに国立病院に入院をした。入院をした当初、やはり癌で入院をしていた自分の兄のことをしきりに心配していたが、叔父は三十代……癌の進行も非常に速かった。殆どなすすべもなく、あっという間に亡くなってしまった。
 遺体は、叔父の家に運ばれ告別式が執り行われた。当時、叔父の子供は、毎日のように「およげ!たいやきくん」のレコードを聴いていた。小さな子供が毎日、自分でレコードを操作して聞いていたので、レコードの針はレコード盤の上に乗ったままの状態だった。
 告別式も無事終わり、一部の親族だけが、叔父の家に泊まり寝ていたときである。真夜中、線香が香る真っ暗闇の部屋で突然「およげ!たいやきくん」の歌が流れ始めた。音は調子はずれに、鳴り出したりとまったりと、何度となく、夜中じゅう繰り返していた。当然、その場にいた全員が気づいていたが、誰もそのことは口に出さなかった。いまでも、「およげ!たいやきくん」の歌を聴くとあの時の恐ろしさが込み上げてくる。
 ところで、叔父の病気とインディアン人形の関連はもちろん不明だ。この事を覚えているのもおそらく私だけだろう。インディアン人形が、その後どうなったのかも分からない。
 しかし、数年前にテレビで、全国から供養のための人形が集まってくるという、お寺を特集した恐怖場番組があった。その寺でも、「特にいわくつき」の人形は地下の特別室に安置されているという。そして、その「特にいわくつき」の人形たちが、テレビに映し出されたとき、私は衝撃を受けた。その中に叔父に見せられたインディアン人形と瓜二つのインディアン人形があったのだ! 思わず背筋が寒くなった……。
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