神々の指紋」 から 「アンダーワールド」 へ (4)


手法に関するエッセイ

グラハム・ハンコック  


U字形構造物の謎




 アンダーワールドはあちこちにある。


 私は、ここではマルタや中国あるいは日本について自身の本やテレビシリーズで述べなければならないこと−あるいは1513年の悪名高きピリ・レイスの地図で描かれているのが6000年前に最後に見られた大バハマ堆と信じる理由やその場所について追加するつもりはない。


 私はこのエッセイの最後の数パラグラフを、インドの「テーマ」、ただしインドではあるがカンベイ湾からずっと離れた場所で終りにしたいと思う。


 その場所はプームプハールと呼ばれている。南東インドの現代的なタミル・ナードゥとスリランカの間のベンガル湾に面したコロマンデル海岸にある。この場所は岸近くの海が1980年代よりインド国立海洋学研究所(NIO)による海洋考古学調査の対象となっており6フィート(約2メートル)の深さの"中間潮位域"内で紀元前3世紀から紀元後3世紀と議論の余地のなく特定できるいくつもの人工構造物の発見がある。


 これらの浅い水域(干潮時にはそれらが露出されるほど浅い場所)で見つかった構造物は考古学関係の書物で非常に多く報告されている。しかしどういうわけか、プームプハールの沖のより深い場所でNIOが行ったもう一つの発見は、全く注意を引くことがなかった。


 最も注目すべきは、プームプハールの岸からまる3マイル、深さ70フィート(23メートル)以上の場所に2番目の完全に別の構造物グループがあり、これらが見つかっているということだ。この場所に対する注目度の低さは驚くべきばかりである。というのは後氷河期の海面レベル上昇に関して幾ばくかの知識を持つ者は誰でも、それらが水没している深さが大変異常である−または、そうであるはずである−ということだ。実際、グレン・ミルンの海面レベルデータによると、これらの構造物が建てられていた土地は、11,000年以上前の氷河時代の終わりには水面上にあったのだ。


 クマリ・カンダムと呼ばれかつてこの地に存在しそして海に飲み込まれた大きな王国について述べた古代タミールの洪水神話があるというのは偶然の一致だろうか?驚くべきことに、神話はこのイベントが発生したのは11,600年前であるとしている−これはプラトンが他の大洋でアトランティスの終わりとして示したのと同じ時期である。


 カンベイ湾の都市の場合同様、プームプハールの沖合3マイルにある水面下の構造物群は海底のプロフィールを作ることの出来るサイドスキャンソナーと呼ばれる機器により初めて認識された。そして中の一つが選ばれ、1991年と1993年インド国立海洋学研究所のダイバーによる調査が行われた。彼等は、当時その深さの意味するものについて気づいていなかった−すなわち、それが最低でも11,500年の古さである事を−1991年の研究は、それが人造物であることを確認し、以下のように述べている:


 馬蹄形の物体、その高さは1−2メートルである。いくつかの石のブロックが1メートル幅のアームの中で発見された。2つのアーム間の距離は20メートルである。23メートル [70フィート] の深さにある対象が神殿であるか、あるいは別の人造物であるかは次のフィールドシーズンに調査が行われる。

 
1993年の研究で計測値はより洗練されたものになった:


 U字形構造物は、沖合い約5キロメートル、水深23メートルの位置にある。対象物の全周は85メートル、2つのアームの間の距離は13メートル、そして最大高さは2メートルである。ダイバーは構造物上に厚い海洋生物が成長しているのを視認した。しかしいくつかのセクションでは、数段の石造建築がそのまま見られた。


 1993年以降、2001年に英国のチャンネル4テレビと米国のラーニング・チャンネルが出資し私がNIOとU字形構造物での協同ダイビングをアレンジするまで、プームプハール沿岸に対して海洋考古学は全く実施されなかった。この素晴らしい構造物はテレビフィルムに収められ「アンダーワールド」テレビシリーズのエピソード2で紹介される。私の本の14章は私達のプームプハールでのダイビング、そしてそこで私達が見つけたもののレポートである。


 NIOのA.S.ガウール博士は、U字形構造物を建てるのに「大変高い技術」を必要としたであろうとカメラの前で私に述べた−それは11,500年前のインドで知られている文化の才能をはるかに越えるものである。一方、この事はガウール博士にとっては、それほど昔に構造物が沈んだと示唆する海面レベルデータの精度の方を疑うことになっている。しかしその年代を私達に直接示すことができるどのような素材や人工物(例えばC-14またはTLテストによる)もNIOはいまだ回収に成功していない。


 2001年にNIOと一緒に行ったプームプハールへの遠征では、U字形構造物および近くにあるもう一つの構造物でのダイビングに限った。しかし、同じエリアの深さ100フィート以上の場所にさらに20以上の大きな構造物があることが知られており、本当にエキサイティングである。これらの地域はこれまでサイドスキャンソナーだけで認識されていて、ダイバーによる探索はされていなかった。地図を作りさらにこれらの他の構造物を調査するため、インド国立海洋学研究所と英国ブラシュホルド−スネル氏の科学探検協会との協同遠征を組織し、2002年3・4月に調査を行う予定である。


 カンベイとプームプハールでの発見は、「アンダーワールド」で初めて詳細に報告され、洪水神話とそれらが属するより広い土地での浸水の歴史との間に適切な文脈を見出している。


 もしそれらが考えられる通りのものであったとしたら−繰り返すが、注意しなければいけないのは、いまだ誰によっても実際のところほとんど調査されたことがないという事である−それらは水没した廃墟の調査が重要度を増すであろうというインド考古学でのエキサイティングな新しい
時代のシグナルである。プームプハールとカンベイはどのように比較することができるだろうか?それらは両方とも、同じ失われた文明の一部分であろうか?それともそれらは2つの別の氷河時代の文化、即ちサブ大陸の北の一方と南の他方を表しているのであろうか?


ダイバーやソナースキャンによる今後の探索、人工物の回収やそれらの分析によって答えが提供されるであろう。


 そして、「アンダーワールド」で私はその理由を説明しているが、インド最古の教典ベーダは、雄弁に物語っていると私は考える。学者間の合意(少なくとも、西洋の学者間の合意)である紀元前1500年頃の古さを疑う十分な理由がある。一部はたぶんその頃のものであろう;しかし、いくつかの聖歌はそれよりずっと古いかもしれない−ずっと古くから口頭の伝承で伝えられてきたのだ。


私は、それらすべてが氷河時代に帰結すると思っている。


そして、私はそれがなぜかを「アンダーワールド」で説明しようとしているのだ。






グラハム・ハンコック
2002年2月



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