kitombo.com | | 2005年8月15日 
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ジョセフィーヌ
「三神信仰のルーツ」

編集 あきら@すずき
原作 茂在プロジェクト/平成13年
8月15日

○朱に染まれば赤くなる
 私はお馴染みのジョゼフィーヌ、すっかりその気になって、ドクター・モーゼ・トーラ(茂在寅男東京海洋大学名誉教授)とその仲間たちの一味になりました。朱に染まれば赤くなると言うのですが、染まる人に染まる素質がなければ赤くなるはずもありません。私にも何か、ドクター・モーゼ・トーラとその仲間たちと同じ怖いもの大好きの好奇心、解けない謎が大好きの非合理主義的高等数学的センス、答のないテーマに立ち向かう冒険心、そして、辛辣で、それでいてほのぼのとしたユーモアを好む性格があるのかもしれません。
 一晩明けた翌日の朝、私は自分がどんな人間なのか、よく判りました。そして、皆さんと同じような先天的体質があることに気付いた時、いつの間にか、私は生まれる前から友達であったような顔をして皆さんを迎えることができました。昨夜は、フレンチ・レストラン『ジョセフィーヌ』を舞台にして深夜まで盛り上がりましたが、今朝は外に出て、マングローブの林に接する白いサン・デッキに白いテーブルとイスを持ち出して会場を設営。私と致しましてはインタビューアーのつもりで待ち構えておりました。
 一番、最初に姿を現したのは茂在先生でした。
「やあ、早いね。よく眠れましたか」
「はい、よく眠れました。大変楽しい夜でしたから・・・」

○マングローブの生命力
「さあ、皆さん。今朝の討論会場は屋外のサンデッキ、こちらに用意致しました。ミス・ジョセフィーヌにお手伝いしていただきまして、はい、この通りです」
 そう言って顔を出したのは、コーディネーター役を買って出たアィ・ティ・ティ専務取締役の綿貫信一さん。いつものにこやかな表情でリードする。後ろから権藤正勝さん、三神たけるさん、大地舜さん、鈴木旭さんが一列縦隊をなして付いて来る。皆、晴々としている。綿貫さんは言う。
「皆さん、このマングローブをご覧下さい。じっと水際に立ち尽くしたまま、動きません。辛抱強く根を下ろして、四方に張り巡らして大きく成長して行きます」
「なるほど、これはどうやって繁殖するんですか」
「はい、いいところに気付いで下さいました。タネなんです。通常、タネは落ちたところで芽を出して、根を張るわけですが、このマングローブは少々、わけが違うのです。大変、面白い性質を持っているのです」
「どういう性質なんですか?」
 また、私は余計な口を挟んでしまいました。しかし、綿貫さんは「待ってました」とばかり、勢い込んで話してくれるのかな、と思っていたのですが、急にもじもじして恥ずかしそうに顔を赤らめながら、私の目をちらりちらりと覗き込んで遠慮がちに答えるのでした。
「マングローブは大人しい植物ですが、繁殖力は強い生物だと思います。マングローブのタネはなかなか発芽しません。なぜなら、水の流れに身を任せて、なるべく遠くまで運ばれるようになっているのです。そして、ぎりぎりまで発芽期間を伸ばして辿り着いたところで芽を出すのです」
 鈴木さんが感心しながら言いました。
「へえ、しぶといというか、したたかというか、いろいろな生きる知恵が凝縮して詰め込まれているんですね」
 それを聞いて、権藤さんが笑いました。
「へへへへ・・・まるで、私みたいですね、そう言いたいんじゃないですか、鈴木さん」
「ご尤も、ご尤も」
 鈴木さんに代わって答えたのが三神さんでした。大地さんがニヤニヤしながら見つめています。


○三体ワンセットの信仰対象
 三神さんは、その場を仕切って言いました。
「ええ、皆さん、お早うございます。昨夜のテーマはまだ決着を見ておりません。茂在先生は、三ッ星そのものが特別に神様として崇め奉られるだけでなく、三ッ星に関係のあるものが次々に作られて行ったのではないか、と仰いました。すると、ミス・ジョセフィーヌが実に的を射た質問をされ、佛教も神道もキリスト教もユダヤ教も皆、三神信仰を持っていますが、何か、関係がありますかと言いました」
「はい、その通りです。その答を求めましょう。私に言わせるならば、世にあるところの三神信仰というものは例外なく三ッ星信仰に発するものと心得ます」
 茂在先生は胸を張ってお答えになりました。いくらか、口を尖らせて語調を強めたり、大きく口を開いて、一段と大きな声を張り上げる時のお顔はとても86歳には見えません。そんな時はほんのりとほほに紅をさしたように赤くなるのです。まるで血気盛んな少年のように見えるのです。
 三神さんがご自分のお名前に関わるものと感じたのか、その茂在先生に迫ります。面白い質問でした。
「住吉大社の三体の神様、表筒男命、中筒男命、底筒男命、そして、神功皇后、それからご神体は変わりますけど、宗像大社も三神信仰です。皆、三神信仰ですね」
「これは有名な故大場磐雄博士によれば、三神信仰はオリオン信仰に由来するということで、海に関係があることは間違いないと思います。ところで、私はもっと面白いことを発見致しました。あなた、住吉大社のご神体を何と言いましたか」
「はい、ツツノオ(筒男命)と言いましたが・・・」
「ツツノオといいましたね。実は男はオではなくナと読むのです。ツツナです。古代ポリネシア語にツツナという言葉があるのですが、それを漢字表記してツツナノミコトになったのではないかと私は考えています。文献を正確に見ないと判りませんが、これは天体の光という意味になります。文字通り、星の明かりを言い表しているではないですか。ポリネシア民族と言えば、航海民族です、海の民ですよ」
「天体の光ですか。ずばりですね。それが住吉大社に航海の神様として祭られているというわけですね」
 三神さんは我が意を得たりと言わんばかりの大満足の顔ですが、少しも間を置かず、尚々、質問を繰り出しても茂在先生に息つく暇を与えません。すばらしい追求でした。
「天体の光と言えば昼の太陽もありますが、夜空の星、それもオリオン座の三ッ星が神様にされたというわけですね」
「安曇の神様とか、宗像の神様も同じではないでしょうか」
「それらの神々は、いずれも天体現象に置き換えていいますと水平線の彼方から上がってくるというイメージですが、これは偶然なのでしょうか」
「漠然としてますが、古代の伝説を辿って行くと多分に海の彼方から自分の先祖がやって来たという言い伝えを表すものになっているのではないでしょうか」
「なるほど」

     

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