kitombo.com | Kyonpe & Hide | 2008年4月28日 
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Kyonpe & Hide
「いつかどこかで(87)」

Kyonpe & Hide
4月28日

 友人からCDが届いた。フィリピンに出張で行った折、あるギタリストのCDを買ったのだそうだ。早速聴いてみた。何曲か流れた後にとても懐かしい曲がかかった。曲名を確かめて合点がいった。「いつかどこかで」—映画のタイトルと同じ曲名だった。
 その映画の舞台となったのは、米国のミシガン州である。
 ある若い小説家のサイン会で、彼の見知らぬ老婦人が彼に近づきこう言った。
 「この懐中時計は、私が若い頃にあなたから頂いた物です。私はずいぶん年を取ってしまったので、あなたにお返ししておこうと思って・・・」
 妙だとは思いながらもとりあえずその時計を預かった彼は、しばらくしてその婦人の家を訪ねた。しかし彼女はもう亡くなっていた。それでも彼女の知人から聞いた話などから、彼女の言っていたことが真実だと彼は確信する。そして五十年前へタイムスリップすることを決意する。彼が自ら懐中時計を渡したはずの女性を探すために。どうやってタイムスリップする方法を知ったのかは、残念ながら覚えていない。ただその条件というのが、当時の物だけを身につけていなくてはならないということであった。古着屋で当時の服を買い求め、コイン商では古いお金を入手した。身仕度を整え、グランドホテルという世界一のサマーホテルの一室に籠もってそのチャンスをひたすら待つ。
 見事五十年前にタイムスリップし、若き日の彼女を見つけ出し、やがて二人は恋に落ちる。幸せな日々を送る二人。ある日彼のポケットの一つから当時のお金に交じってたった一枚、現代の硬貨が出てきてしまう。その瞬間、彼は現代に引き戻されてしまう。再度タイムスリップしようと試みるが、二度と成功しない。何日も食事さえ摂らず部屋に籠もり、彼女のことばかり考えている。ついにはフロントのマネージャーが部屋に入り、瀕死の状態の彼を見て救急車を呼ぶところで映画は終わる。
 若い頃の彼女に二度と会えない。さらに老婦人もこの世にはいない。生きていることに何の意味も見出せなかった彼は自殺した訳ではなかった。ただ何もしないということで死に至ってしまったのである。
 Kyonpeが元気な頃、この映画を一緒に観た。我々家族がミシガン州で暮らしていたこと、さらにそのグランドホテルに滞在したこともあり、映画ならびに主人公に親近感を覚えた。同時にタイムスリップしたという内容に摩訶不思議な思いをしたものだ。
 今この曲を聴きながら映画の内容やそれを観た時の不思議な思い、そしてそのホテルに家族で泊まったこと等、色々な思いが脳裏を駆け巡った。そう、HideはKyonpeと映画を観た時にタイムスリップし、また家族でグランドホテルに泊まっている時にもタイムスリップしていた。いつの間にか涙があふれていた。

 若い作家の一途な思い。それに対してHideは食事を断つことも、命を絶つこともできない。唯一、Kyonpeとの思い出を一冊の本として綴る為に生きながらえている。
 いつか、どこかでその本をKyonpeに見てもらう為に・・・

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