kitombo.com | ミャンマー奮闘記 | 2005年6月20日 
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ミャンマー奮闘記
「立場の異なる2つのNGO 2」

豊川真由
6月20日

◆WEAVE(Women's Education for Advancement and Empowerment)
◇ビルマの難民を支援するNGO
◇オフィス:タイ/チェンマイ
 「諸外国のNGOからの援助に頼るだけでは成長できない。手に職をもち、収入を得ることで、女性も社会の中で自信をもって活躍できる」という考えのもと、難民キャンプで暮らす女性を対象に様々な教育をしている。また、織物を学んだ女性が実際に手作りした布人形、布小物などの商品を売る場も提供している。
 ビルマからタイに渡る女性移民労働者の中には、農場、工場などで働く人もいるが、性労働を仕事とする人も少なくない。人身売買によって強制的に連れてこられてきた人もいる(山岳地帯に住む10歳の女の子がテレビなどと引き換えに売られていると聞いた)。
 また、国境を超える際に、ビルマの軍人からレイプなどの性的暴力が相次いでいると報告されているが、政府は黙認しているのが現状だ。今回は訪れることができなかったが、SWAN(Shan Women's Action Network)という団体が"License to Rape"という本を出版している。ビルマのシャン州における軍人のレイプの実体を綴ったものだ。これは国連にも提出されている。
 難民キャンプには様々な背景やリスクを抱えた人がいる。その中で、女性が自信を持って社会の中で活躍する場が増えるのはとても嬉しい事だ。

◆S.T.A.―なみだの分かち合いアジア― 
◇少数民族の民主化運動支援、売春と戦う女性の支援、日本人の現地スタディーツアーなど、様々なプロジェクトを運営する日本のNGO
◇オフィス:愛知県/日本
 ビルマに旅立つ直前、何気なく見ていた新聞にS.T.A.の代表、山田隆光(りゅう・チャクマ)さんのビルマに関するコラムを見つけた。「ビルマは助けを求める人が多く貧しい国」というイメージを勝手に描いていた私は、何か助けになることをしたかった。「私は何ができるのだろう?」そう思い、即座にりゅうさんのNGOオフィスを調べ、メールを送った。りゅうさんの返事は、「何ができるかと考える前に、まず知ること。何かをしてあげるなどとは考えないこと。知ることで、そのことを自分自身の体験だけに止めておくことは、私たちに体験させてくれた人々に失礼だと思うようになるだろう。第三世界の人々は常に何かをしてもらう人々、先進国の我々は常にしてあげる人というステレオタイプのイメージを先ず拭いましょう」というものだった。
 確かにそうだった。この言葉に良い意味でショックを受けた。「支援」という発想では飢えや貧困の問題は解決しない。何故なら、支援というのは「持った者が持たない者へ」という発想で成り立っているからだ。「支援する者」「される者」という関係ではなく、アジアで暮らす弱い立場の人々が、自分達で考え、自分達の力でできる限り現状を変えることができるよう、分かち合うことが彼らの苦悩を解決する一つの手段だとりゅうさんは言う。
 偶然にも、私はタイのチェンマイでりゅうさんに会うことができた。彼はビルマの少数民族の現状、売春エージェントに命を狙われながら売春阻止のために闘っている友人の話など、たくさんのことを熱心に教えてくれ、HREIB、UNYL、WEAVEなどのNGOオフィスを案内してくれた。実際に何人ものビルマ人に会い、話し、一緒の時を過ごすことで、彼らの祖国への思いや民主化にかける真剣な様が痛いほど伝わった。彼らの純粋で力強い眼差しが明るい未来を予感させてくれた。もしりゅうさんと会わなければ、私のチェンマイ滞在は、ガイドブックに沿った山岳地帯のトレッキングや観光地と化した少数民族の家を訪れただけで終わってしまっただろう。

民主化を求める夢は一緒
 「Save The Life」のように政府と連絡を取り合い対等な立場で活動をするNGOと、「HREIB、UNYL、WEAVE、S.T.A.」のように政府から離れた場所で独自に活動をするNGO。この2つが一緒に活動することは、今のところない。むしろ距離を置いているといっても過言ではない。
 政府から離れたところで活動をしている人からこんな話を聞いた。「ビルマ政府は少数民族全員に番号をつけ、軍事的に管理しているらしい。人間に番号をつけるなんて人権にそぐわない。少数民族にも人権がある」と。しかし、Save The Lifeの人に「それは本当か?」と聞いてみると、「それはミャンマーの国の人全員にやっていること。少数民族だけに特化してはいない。この世に生まれた瞬間からみんな番号を持っている」という答えが返ってきた。これは怖いと思った。相互の情報交換がないことで、誤解したり、思い込んだり、相手をさげすむようなケースを生じさせるのではないかという不安だ。
 インフラや経済の基盤を政府の内部から変えようと働きかける動きは重要であり、国全体を動かす大きな力となるだろう。そして、売春問題、レイプ、暴力、強制労働といった国境地帯の少数民族が直面している悲惨な現実を解決しようとする力も偉大だ。それぞれのNGOの人々が真剣に議論し、それぞれの解決策を練っている。ステージは違っていても、今は無理でも、近い将来、相互が協力・理解し合うことでミャンマー/ビルマの明るい未来がつくられることを強く望んでいる。「民主化された、豊かで平和な国を」という目標は一緒なのだから。

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