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ピーターパンの世界
「ピーターパンの世界(24)」

大地舜
1月22日

 5日目に入った。水曜日であり、プログラムにとって最も重要な日だ。この日までに何も起こらなければ、たいした成果がなかったことになる。
 朝の最初のテープは、フォーカス27(F27)に行き、そこで若返りと癒しの場所を訪れるという。私の目に浮かんだ癒しの場所は、木造の広い茶色の建物で、ベッドが置かれており人々が横たわっている。どちらかというと東南アジア風の雰囲気だ。他の人々が見た癒しの場所は、西洋風の白い病院のような建物だった。こういう所にも文化の違いが出てくるのに違いない。いつかもっと詳しく述べることがあると思うが、意識の世界は「森羅万象なんでもあり」なのだ。
 2度目のテープはF27に行ってから、死んだら最初に行く場所であるフォーカス23(F23)に戻り、そこでいまだに迷っている魂を救出する例のプログラムだった。
 インストラクターのリーの言葉に従い、今回は迷いがあっても、ともかく誰かの手首を捕まえたら、F27まで連れていこうと決めていた。
 相変わらずF23は真っ暗闇で、何も見えないが、手を差し伸べると誰かが必ず引っかかってくる。最初は15歳ぐらいの愛嬌のある太めの娘さんだった。途中まで手をつないでいたのだが、途中から、彼女一人で上に行ってしまった。<いったい、どうなっているんだ、これは・・・>
 仕方ないのでもう一度F23に戻り、手を差し伸べたら、青い目の男の子が現れた。見覚えのある子だ。ガイドライン・プログラムで私の過去世にでてきた男の子だ。<なんだこれは? 変だ・・・>と思ったが、リーの言葉を思い出し、なんでもいいからF27まで連れて行った。このときは何となく以心伝心ができた。
 この子は一緒に死んだ筈の「妹を探している」というか「待っている」という。男の子が牢獄に閉じこめられている映像も目に浮かんできた。たぶん「妹は天国に行っているんだよ」と私が伝えると、男の子は素直についてきた。F27では白い光の中に人が待っており、その人が男の子を連れ去った。
 そのとき<もしかすると、この為に私はライフライン・プログラムにくる必要があったのかな・・・>と思った。
 3回目のテープはF27でのフリーフローだった。つまり好きなことをやって良いのだ。
 そこでF27の癒しのセンターに行って、ベッドの横たわり、光のヒーリングを受けた。ついでに35歳まで若返らしてもらった。次に中国風の建物に行き、「パーティーだ、みんな集まろう」と呼びかけたら、続々とやってきた。おやじにおふくろ、青い目の男の子、三宅のおじさん、ハーカー先生、火事で亡くなった幼稚園の先生、高校生の時に自殺した中村、大学生の時に自殺した市川など、みんな勢ぞろいだ。このプログラムに参加する最初からの目的だった親戚の方もいた。
 みんなにこにこ笑顔だ。なにやらほっとした。単なる幻覚に過ぎないのは分かっているが、それでも嬉しい。
 以心伝心だが、今の私は順調で、ガイドたちの助けはそれほどいらないらしい。
 このテープセッションの後、私はすごく満足していた。もちろん幻覚であり、自分の見たいものを見ているのに過ぎないことは分かっているが、それでも心が浄化された気分だ。
 午後4時からは再び、魂の救出作業を続けた。
 今回はたくさんの魂を救出した。前回、手を放してしまった若者も現れた。この若者は100年前の魂らしい。平安時代の「しずか」という女性も助けた。長い黒髪が美しかった。12歳のアメリカ人の女の子は50年前に火事で亡くなっていた。場所はリトルロックだという。
 このプログラムを行いながら、霊の救出も良いけれど、現実の世界で助けを必要としている人がたくさんいるじゃないか・・・と疑問を感じた。死んで迷っている霊も、助けが必要だ。だが、現世にも助けを必要としてる人々がたくさんいる。彼らを助けなくていいのか?
 このセッションの後、小さなグループに分かれて、報告会を行った。ルームメイトのエリックは泣き出しそうだった。F27に自分の気に入った場所すら創れないのだという。そこで私は助言した。「フォーカス27に自分の家を造ったらいいじゃん」。エリックは「うん。それなら可能かな・・・」という。もう一人のインストラクターのシャーリーンは「それはいい考えよ。ナンシー・モンローも同じことをしていわよ」という。
 夜は『剃刀の刃』という有名な小説の映画化を見た。サマセット・モームのこの小説は、高校時代に読んで感激したものだ。
 木曜日は最後のプログラムがある日だ。金曜日には解散する。
 この日はリラックスしていた。昨日の体験で、だいぶ満足していたせいだろう。
 だがそれにしても、青い目の男の子の救出は何だったのだろう? 過去に死んでいて、まだ成仏していないなら、私が今、生きているはずがない。この疑問にはプログラム参加者の一人、エドウインが答えてくれた。
 エドウインはF23に自分自身がいるのを見たという。彼の解釈によると、異次元の意識の世界、あるいは霊の世界における時間は、私たちが知っている直線的な時間とは違うのだという。すべては、今起こっているのだという。
 つまり、異次元の意識の世界には時間も空間もなく、霊の世界には過去も現在も未来も同居しているという。だから前世であるはずの青い目の少年の霊を、現在の私が助けるなどという奇妙な現象も起こるのだという。
 エドウインによると、助けが必要なのはわれわれであって、他人ではないという。そうなると、今回このプログラムで助けた人々は、すべて自分の過去生なのか? あるいは未来の自分なのだろうか?
 ますます訳が分からなくなったが、当然だろう。宇宙の仕組み、異次元の世界は、私たちの理解を超えているからだ。
 だが、もしも救助していたのは自分の分身たちだったとすると、このプログラムに参加した意義は大いにあるのではないだろうか。なぜなら、だれも他の人は助けてくれない可能性があるからだ。
 5日目の午前中のプログラムの最初は、「バイブフロー」というテープで、振動によるヒーリングを狙ったテープだが、気持ちよく眠ってしまった。
 2本目はF27で癒しの場所に行くプログラムで、光による癒しを受けた。これも気持ちよかったが、私の身体は万全な状態だと自覚できた。
 3本目はF27のフリーフローで救出作業を行えと言う。今回はチベットの小坊主を救出した。500年前に崖から落ちて死んだらしい。
 その後は青い目の男の子を呼び出して、一緒に救出作業をすることにした。青い目の子と一緒にF23に行ったのだが、この子は毛がフサフサした大きな犬を助け出してきた。生きているときに可愛がっていた犬だそうだ。
 次は、わが家の猫の先代のピピを探した。先代のピピは生まれて2ヶ月も経たないうちに病気で死んだのだ。小さなピピを見つけ出し、両手で抱えてF27まで行った。これまた気休めに過ぎないただの幻想だとは思う。だが、気分は良かった。動物は、人間が連れていかない限りF27には行けないのではないだろうか。
 救出作業も充分に行ったと感じたので、ガイドに質問をした。
 「私の今生における使命は何か?」というものだ。
 答えはすぐに出て来た。
  1. 愛について学ぶ。
  2. 地球で浄化が始まる、それに備える。
  3. 1万人の上に立つ指導者になる。(本が1万冊ぐらいは売れる、という意味か?)
  4. これから10年以上走りつづけ、大事な本を書く。
 これまた、自己願望・自己催眠のたぐいだろう。
 最後に、もう一度、おやじやおふくろなど、みんなと会った。
 幻想の世界だろうが、またみんな集まってくれた。今回はオーストラリアの友人キースも来ていた。
 このプログラムの参加者たちは、いろいろな経験をしていた。白人女性のクリスは、レセプションセンターで黒人のレジーに会って、いろいろ話したという。クリスはF27で会ったことを証明する為に、レジーに秘密の合言葉を教えたが、レジーは「覚えている自信がない」と答えたそうだ。
 レジーもF27でクリスと会って会話したと証言した。二人は一緒にスイミング・プールのある部屋まで歩いて行ったと言うが、見た場所の説明は良く似ている。二人ともガラスの円天井の下にあるスイミング・プールに行ったのだ。
 ルームメイトのリックは、F27に自分の家を建てることに成功したと、喜んでいた。
 夜は、このプログラムの感想をそれぞれ述べて終わった。
 私はモンロー研究所に来るといつも感じることを述べた。ここに集まってくる人たちは、世界でももっとも興味深くまた、人種偏見もない特別な人たちなのだ。輪廻転生があることを知っており、過去生において日本人であったり、インド人であったと信じている白人や黒人たちは、私たち黄色人種にとって一番、親しみやすい人々だ。彼らには人種偏見がない。だからすごくアットホームな気分でいられる。こういう世界は、かなり珍しい。普通の人々の人種偏見は、日本人を含め、根深いものがあるからだ。

(つづく)

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